板倉づくりとは
板倉づくり(板倉の家)とは
板倉づくりとは、正倉院などにも代表される日本古来の伝統構法です。
4寸角(120mm)の杉の柱に溝を掘り、厚さ1寸・幅5寸の杉板を落とし込んで板壁をつくり、住宅の基本的な構造を築くものです。
杉無垢材の粘り強い性質を耐震性に活用した、安全でしっかりとした構造で、天然杉板の構造材がそのままで仕上げ材になり、調湿性・癒し効果のある木の良さを最大限に生かした構法です。
「大工のペガサス」では、伝統的なすばらしい日本人の知恵を、今の家づくりにも活用するべきだと考え、板倉づくりで家を建てています。
板倉と土蔵
板倉と土蔵。倉をつくる構法として二つの方法があることは、よく知られています。
板倉は、倉の壁を木材でつくったものの総称で、柱を建てずに角材を組んだものは「校倉」または「せいろう(井籠)倉」とよばれています。柱を建ててその間に厚板を落とし込んだものは、「落とし板倉」あるいは単に「板倉」と呼ばれているそうです。
校倉の代表としては奈良の正倉院、板倉の代表としては伊勢神宮が挙げられます。
また、土蔵が歴史上に登場するのは鎌倉時代のことになり、京の大火の際に焼け残った土蔵が絵図に残されているそうです。そして、関東や東北地方の山間部には、今も板倉が数多く見られることがその後の調査で明らかになってきました。このように日本の古い時代には板倉が一般的で、土蔵は鎌倉時代に出現し、東日本より西日本において比較的早く普及し、また山間部より平野部において普及していったようです。
日本の倉は、板倉から土蔵へと徐々に移り変わり、その背景には農耕の拡大に伴う森林資源の後退、限りある木材資源を補うために土壁への依存が高まり、更に都市化の進行で防火の要求が強まって土蔵化は、加速されたと仮説されています。
板倉づくりの特徴
地震に対して『揺れるが崩壊しにくい』構造です
「大工のペガサス」の木の家は、筋交い(斜め材)が入っていません。
その代わりに縦に補強材を入れています。
これは、地震の力を建物の全体が微妙に揺れることによって地震を吸収する工夫です。
筋交いのように建物を固めない伝統構法の知恵です。
無垢の杉がもつ粘り強い性質を利用した、地震に対して「揺れるが崩壊しにくい」構造です。
金物はできるだけ使わず、木組みの良さを最大限に活かしています
接合部の補強になるべく金物は使用しません。
木組に加え、伝統構法で用いられている木製の込み栓を使用しています。
土台と柱、柱と梁はほぞで接合し、そのほぞが抜けないように直行に木製の込み栓を打ち込みます。
金属金物は、木よりも硬く力のかかる接合部では長い間にゆるむ確率が高くなります。
保温性と調湿効果で充分な暖かさがある家です
厚さ30mmの無垢杉板と遮熱シートが断熱材の代わりになり、夏の暑さ、冬の寒さを軽減します。
天然無垢材は熱伝導率がとても低く、断熱性に優れている材料です。
また、遮熱シートは太陽からの放射エネルギーを大幅にカットしてくれます。
より暖かい家にしたい場合や建物の仕様によって断熱材を使用することがありますが、この断熱材もカラダに悪い影響のない、触れても安心な医療施設でも使用されているポリエステルの断熱材を選んでいます。
メリット
1:耐震性が高く、粘り強く崩壊しにくい安全な構造です。
2:杉無垢材の調湿性と断熱効果で、 『夏は涼しく、冬は暖かい!』
3:杉の香り、木目の暖色が目に優しく、癒し効果があります。
温もりのある木の色、杉の木の香りが漂う空間は本当に心地がいいです。
4:杉無垢材や天然素材を使用しているので、シックハウスの心配もありません。
5:構造体あらわしなので、リフォームが容易にできます。
7:四寸角の柱を使用する構造体なので、長持ちする住まいです。
デメリット
3:湿気を吸排出しているので、材の体積が変化し割れることもあります。
材によっては竣工前に割れてしまうことがありますが、構造に問題はありません。
4:掃除に手間がかかることがあります。
木は静電気を発生させないので、ほこりはそのまま下に落ちていきます。
5:自然素材なので、材の色やツヤなど見た目の経年変化があります。
伝統技法「手刻み」
手刻みって何?
「手刻み」とは、大工が木材(柱や梁)に墨で印を付け、ノコギリやカンナやノミを使い加工していく、古来より伝わる伝統的な木材加工方法です。
なぜ手刻みなの?
プレカットはもちろん合理的で良いのですが、使用目的に合わせ職人の目で丁寧に加工していくことで、より頑丈な構造体を組み上げることができるからです。
また、手刻みだからできる無駄のない加工で、木を大切に使いコストも抑えます。